【中華人民共和国】
古来日本人は大陸文化を範とし、その深い知識と教養を教科書として日本文化を培ってきた。われわれの周りには大陸をその起源とする、生活習慣、ことわざ、思想等のあらゆる文化が溢れている。民族の基礎である言語環境も例外ではなく、日本文化は漢文が学問の中心であった時代が長い。大陸を兄と慕い、現在の日本が形作られたといっても過言ではない。われわれの先人は大陸文化を学び、吸収して独自の文化を築いてきたのである。
われわれは大陸の歴史上、最も高揚した春秋戦国時代の思想家・戦略家・政治家たちを敬愛している。戦国五覇の一人「斉の桓公」、稀代の兵法家「呉起」、秦の功労者「李斯」、高祖三傑の一人・国士無双の「韓信」。数え上げればきりがない。
これらの思想家、戦略家、政治家たちが日本史に与えた影響は計り知れない。鎌倉幕府を開いた源頼朝は、平治の乱で伊豆に流されたとき好んで孫子の兵法を学んでいる。忠臣として人気のある南北朝時代の武将楠正成。彼の兵法も孫子を応用したものといわれている。また、江戸時代の寺子屋では『四書・五経』は言うに及ばず、『淮南子』や『戦国策』等も教科書として使われている。
冒頭でも述べたが、われわれが日常何気なく使う言葉の中にも大陸から伝わったものが多い。「守株」、「助長」、「蛇足」等のエピソードからことわざ・四字熟語まで実にたくさんの大陸の知識、教養がわれわれの周りには溢れている。これほどまでに大陸文化は日本の文化、思想、政治に大きな影響を与えているのである。
ここで、現実の世界に視点を移そう。大東亜戦争終結後、日本の為政者は中華人民共和国(以下中国)に対して卑屈なまでに弱腰外交を続けているが何故だろうか。一般的には日中戦争に対する贖罪意識からであると説明されることが多い。確かにそれもあろう。だが、その根底には日本人の心に今なお潜在している、大陸文化に対する憧憬の念があるように思える。
日本人のこのような感情はごく自然のこと。『史記』、『三国志』、『水滸伝』、『西遊記』等のファンは日本でも多い。関連本も星の数ほどある。島国の日本人が広大な大陸ロマンに胸を馳せるのも無理はない。
しかし、今の日本人の大陸文化の認識は、そのよい面だけを見て判断しているように見える。漢民族は確かに偉大な歴史を持ち、政治・文化・経済・科学技術とあらゆる面で人類の歴史にその足跡を残してきた。しかし、その裏では自らを「中華」つまり世界の中心と自負し、他民族に対する蔑視を当然の事として数多くの周辺民族を滅亡させてきたこともまた事実なのである。
北方異民族を北狄と呼び、南部の部族を南蛮と呼ぶ。その他にも漢民族の側からつけた民族名には烏桓、犬戎、契丹、義渠、西戎等がある。これらの名を見ると、鳥や獣、虫といった語句が入っていることに気づかれるであろう。つまり、漢民族からみたら、異民族は鳥獣や虫のような人種であるということなのだ。これほど他民族を侮蔑する言葉がほかにあるだろうか?
この中華思想こそが漢民族の深層心理に焼き付いている意識であり、現在の中国の為政者にも歴然と存在している。彼らの深層心理はこうだ。漢民族が倭人と呼んだ東の小さな島国が、一時的であっても漢民族を支配し、搾取した。この事実に中華の遺伝子が敏感に反応する。そして、中国の為政者はさらに狡猾で、日本人の贖罪意識につけこんで日本からあらゆる経済的な援助を搾り取ることに腐心しているのである。
以上のような状況を理解した上で、現在の中国の意図と今後の展望について考察してみたい。
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